【あの人103】H・O君 姓名で呼んだことはない。 もっぱらあだ名の「B」と呼んでいた。 同級生には同姓同名の人がいたし、他の中学にも同じあだ名の人がいたな。 中学の部活、卓球部で一緒だった彼。下手だったけれど、最後は努力が実ったね。 一年の夏休みだったかな、先輩から鏡の前で素振りの練習をしろと言われ、午前中の2時間を素振りだけしてた日を覚えている。 暑い日で、球拾いやラリーをしている自分たちも暑かったけれど、素振りをしていた彼も、ものすごく暑かったんだろうな。 素振りは何しろ、定位置でやってるものだから、床が流れた汗で色が変わるほどだった。 ものすごい汗だったな。 それでも、普段はニコニコとしていて、どことなく憎めないやつでもあった。 ずっと俺と同様に補欠だったけど、そういう真面目さが良かったのか、最後の公式戦では団体戦に出場したね。 結果は地区で準優勝だったかな。 県大会には行けなかったけれど、彼も満足のできる部活だったかも知れないな。 前の同窓会の時には会ったあろうか。 元気にやってるのかな。 今度、同じ出身の小学校の同級生から消息を聞いてみることにするよ。 |