【あの人54】H・Kさん もうしばらく会っていないけど、ずっと気になっている人がいる。 俺よりも7つぐらい上の先輩で、よく行っていた喫茶店の常連さんである。 当時住んでいた所も、大体は知っているが正確な家は知らない。 本人に確かめたわけではないが、高校の先輩でもあるらしい。 お互いにその喫茶店の常連であったから、よく酒は飲んでいたし、それ以外のところでも一緒に遊んだりもした。 若い常連達で、馬鹿騒ぎをしたり海に行ったり、お祭りに繰り出したり。あるいは車で仙台までドライブしたり、スケボーやスキーをしに行ったり。 彼は必ずその輪の中にニコニコして加わっているのだ。そして、それが全然違和感がなく、そこにいるのが当たり前の存在だった。 彼は俺のように昼間からうだうだとその店にいるわけでもなく、仕事が終わって一度家に帰ってから出直してきていた。だから、登場はいつも7時ごろだった。 いつも酒を飲んでいるということではなく、ほとんどはコーヒーだった。もちろん俺もそうだったし、酒ばかり飲んでいると破産してしまう。 ずっと付き合いがあった当時は、まだ結婚してはいず、そんなに焦っている風でもなかった。何かのんびりとした感じがしていた。 今はその店そのものが営業を止めてしまっているので、彼の行き場所はどこにあるのか。 ひょっとしたら仕事を求めて、一関にいないのかも知れない。狭い一関でもすれ違ったとか、見かけたということも無いのだから、ひょっとしたら遠いところに住んでいるのかも知れない。 とっくに結婚していて、家の中にいて相変わらずニコニコしているのかも知れない。 |