【あの人42】T・S君 小学校からの付き合いだった。中学生までは仲が良かった。 だいたい20歳ぐらいまではどんな感じで暮らしているのか、友達に聞けば風の噂のように流れて来た。 社会人になったら全然彼の情報がつかめなくなってしまった。誰に聞いてもどこにいるのかさえも分からないのである。 彼とは小学校3年の時に同じクラスになってからの付き合いだった。何をどうして遊んだのかは覚えていないけれど、良く彼と遊んでたと思う。馬が合うというのはあの事だろうな。 一度学校のグラウンドでふざけ合いをしていた時、彼の投げた消石灰(グラウンドにラインを引く時の白い粉)が目に入ったことがあった。目をはらせながら次の日に眼科に行ってホウ酸水で洗浄した事があった。ちなみにその日はピアノの日だったので眼科には行かなかった。 今どきであれば大問題になりそうな事だったけど、あまり気にも止めなかった。(汗) 中学校になった頃、彼も俺も自転車に夢中になって行った。彼はスピードを追求するロードレーサー、俺はのんびりとツーリングと言う具合だったけど、どちらにしても集まるのはいつもの自転車屋「あべ政サイクル」だった。(笑) 表の顔は自転車好きの中学生、裏の顔は深夜徘徊大好きなちょっと不良な中学生。。。(大汗) 彼も当然のように、この「あの人・・・」に何度か話しとして登場している深夜徘徊の主要メンバーである。 彼の部屋にはすぐに外に脱出できるような大きな窓があった。しかし特にそんな窓を使わなくても出入りは自由だった。(笑) こっそりやるなんて似合わないと言う風に、堂々と玄関から出入りしていたのである。 そういえばホルストの「惑星」を初めて聴いたのは、彼の部屋だった。彼のお兄さんのYさんのレコードだったかも知れない。それに加えればマル・ウォルドロンの「Left Alone」を初めて聴いたのも彼の部屋だった。(笑) 彼は高校のクラブは吹奏楽と決めていたので、一緒に見学に行ってその日の内に二人ともホルンのマウスピースを加えていた。それは彼のお兄さんの影響だろう。そのクラブの先輩のコンダクターだった。 そんな彼がなぜか2年生ぐらいから変り始めた。いや、普通の高校生になったと言うべきなのだろうか。俺はその頃にはとっくに吹奏楽を止めて自分のバンドでベースを弾いていたから、どういう経過だったのかは知らない。 なんだか付き合いづらくなってしまったなぁと言うような印象であった。それも彼の生き方なのだから、俺からは否定はできないけれど。 高校を卒業してから、風の噂でどこかの大学のブラスバンドの指揮をしていると聞いたことがあった。やりたい事をやり通したということかも知れない。 |