【あの人41】Yさん 彼女は西多賀の病院に俺より数ヶ月後に隣の病室に入院して来た。 病名は俺と同じ大腿四頭筋短縮症。しかも俺と同じ一関の山目小学校。彼女の方が一つ年上だった。 その時俺は5年生の子供達が入っている病室、彼女は隣の6年生の病室である。 彼女の入っている病室には前から時々遊びに行っていたので、いつも普通に入って行ける。ただ彼女は出身と病名が同じということもあって、やっぱり他の子供達よりも親近感を覚えていた。 ただ、二人とも思春期の入りかけ、意識し過ぎてあまり楽しくおしゃべりをしたという記憶はない。 その後どっちが先に退院したのかはっきりしないのだが、順番からいっても俺の方だと思う。 どちらも退院して普通の小学生に戻ったわけだが、児童の多い小学校なので意識しないと彼女はどこにいるのかも分からなかった。それはお互いにそうだったろう。一度だけ学校で病院に入院していた時のことを話したのを覚えている。 低学年の頃から腐れ縁の同じクラスの友達に、彼女は近所に彼の近所に住んでいるということを教えてもらった。 俺が中学に入学した時は、当然ながら彼女は2年生になっている。 バスケット部に入り元気にボールを追い回している彼女を久しぶりに見た。俺は卓球部なので体育館の使用できる曜日がバスケ部とは違っている。そういうこともあって、彼女の姿を見る機会はあまり無くなってしまった。 そして彼女は中学校を卒業して高校へ。やがて彼女の記憶も俺の頭の片隅の方へ行ってしまった。 ただ、やっぱり俺と同じように手術の後が彼女の右足の大腿部にもあるのをはっきり覚えている。 |