【あの人32】K・T君 彼もまた専門の時の同級生である。 出身は青森県の浪岡という所、美味しいリンゴの産地である。 高校卒業と同時に入学して来たから年では俺より1つ下ということになる。 同じ東北出身と言うことから仲良くなったとかではなく、学生時代にはありがちな麻雀仲間と言うことである。 どこか訛りの抜けない話し口調には同じ東北人として親しみは感じていたのだが、青森出身と知ったのは話すようになってから大分後だったと思う。 彼の麻雀は何か変だ。セオリーとか定石とかは完全に無視したような打ち方。そんな打ち方に回りが翻弄されたのであろうか、彼は良く勝っていた。 勝負強いということもあったかも知れない。学校からの帰り道のパチンコ屋、麻雀をしない日はこちらに寄り道。あまり負けたのも見たことがなかった。 確か彼は池袋東口から少し南に歩いていった所にアパートを借りていたはずだ。酔っぱらって池袋駅から歩いて行った記憶がある。 彼は卒業と同時に市場の電算室に就職をすると言っていた。卒業した年の秋ごろにリンゴが送られて来たのが、彼との連絡の最後だった。俺は礼状を出したかなぁ。 お礼の電話を入れたのだけれど、あいにくと彼は不在だった。 |