【あの人28】T・Sさん(投稿作品) 彼に出会ったのはある本屋で立ち読みしていた時だった。 文通希望の欄に彼のプロフィールと住所名前が載っていたのを偶然見たことが初めだった。 本は買わずにそこだけメモして、帰宅後に手紙を書いてみた。 数日後、彼から手紙が来て、私たちの文通は始まった。 彼は一関商工卒の青年だった。私はまだ高校生。 同じ県内はいえ随分遠くに感じた。 フォークソングを作っていて、彼からのテープが来るのが楽しみになった。 私もバンドやっていたので、お互いが自分のテープを交換しあった。 いろんな思い出がたくさんある。 彼の書いた詩はまだ持っている。 今はどうしているのだろうか?きっと可愛いお嫁さんとお子さんで暮らしているのだろう。 待ち吹く風 長めの黒髪 風になびかせ 微笑んで見せる君 少女の黒髪 やけにもどかしく 風に羽ばたいて見せる君 大空を飛びたい 風にのって 君の街まで雲にのって 安らぐ心があるのならば 笑顔を1つ分けておくれ 待ち吹く風は 心地よいけど 君の心まで連れ去っていくよ そら吹く風は 心地よいから 今 風になって君を連れて行きたい・・・・ あれからもう25年たっている・・・ |