【あの人25】・・・・ その彼女はある小さな駅前にあるコンビニでバイトをしていた。 彼女の名前は知らない、いやかなり昔のことなので覚えていない。確か一度聞いたことがあるはずだけど。 波乗りを始めた頃は、日の出とともに海に入り夕方になると帰ってくるというパターンだった。その帰り道にちょっと寄り道をすると、そのコンビニはあった。いつも何人かでそのコンビニに寄って空腹を満たしてから一関に向かうと言う感じだったが、もちろん彼女の顔を見るために寄り道をしていた。いつも行くメンバーのアイドル的な存在だったが、逢えるのはそのコンビニだけだった。 よく寄り道をしていたのは、波乗りを始めて2年ぐらい経った頃だったと記憶している。けれど3年目にはその彼女はいなくなっていたので、それ以来そのコンビニには寄ることも無くなってしまった。たった1シーズンの話しである。 確か年齢は俺達よりもいくつか下で、で高校生だったのか卒業していたのかまでははっきりしない。あまり大はしゃぎをするような感じの女の子ではなかったが、時々俺達に話しに加わって笑っていた。何となく華奢だってけれども、身長はその当時で言えば小さい方ではなかった。白いスカートとTシャツ姿が妙に印象に残っている。 あのシーズンから大分経ってしまったから、俺の記憶もずいぶんとぼやけている。 |