【あの人11】Y・Tさん 市内にある県立高校の受験の日、彼女は俺の隣の机に座っていた。 彼女は俺とは違う中学校から受験に来ていたのだけど、なんとなくちょっかいを出してみたくなり、話し掛けて見た。何を話し掛けたのかは覚えていないけど、多分出身中学校のことを聞いたんだと思う。 その受験から1ヶ月ほどで高校生活がスタートしたのだが、偶然にも彼女は俺の前の席に座っていた。本当のことを言えば、俺は彼女に声をかけたことすら忘れていたのだが、彼女の方は覚えていて、そのことを笑いながら話してくれた。 彼女は背中の真中ぐらいまである髪の毛を一本の三つ編みにしていた。俺は後ろの席からそれを面白がって引っ張ったりして遊んでいた。妙にそのことが懐かしい。 同じクラスだったのは1年生の時だけで、その後一緒のクラスになることはなかった。 高校を卒業して1年か2年過ぎた時に、友だちがやってるバンドのライブがあったのだが、そのライブは高校の同窓会みたいな感じで、お客のほとんどは同じ高校の出身者だった。 そのライブに彼女は友だちと来ていた。 ちょっとだけ話しをしたのだが、思わずビックリするぐらいにきれいになっていた。 トレードマークだった三つ編みの髪の毛は、肩ぐらいの長さになっていて、軽くパーマがかかっていた。 その後の彼女のことは知らないが、大学が教育学部だったから学校の先生になったのかもしれない。 2010年6月のある日、同級生からメールが来た。 彼女の訃報を伝えるメールだった。 どうして亡くなったのかは分からないが、ご主人から同窓会の案内に載っていた別の同級生のアドレスへ、葬儀まで済ませているというメールが来たという。 あまりに早い彼女の死。 ご冥福をお祈りします。 合掌。。。 |